あなたは「福祉美容師」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?
あまり聞き慣れない言葉だと思いますが、実は非常に大切なお仕事なんです。
福祉美容師とは、サロンで勤めている美容師とは違い、高齢者・身体に障害を持った人、何らかの理由で美容室に行けない人に対して美容師と同様にカット・シャンプー・カラーをする人のことをいいます。
調査によると2025年には約17.8%の人が75歳以上になると言われており、高齢化が進む日本では介護関連の仕事がどんどん増えていきます。
そのため、福祉美容師のお仕事は非常に重要で、やりがいのある仕事です。
この記事では、
- 福祉美容師の仕事内容
- 福祉美容師としての働き方
- 福祉美容師を目指す人向けの資格
- あると有利な介護系資格について
福祉美容師の仕事内容やあると有利な資格について徹底解説します。
福祉美容師の仕事内容
上述した通り、福祉美容師の仕事は身体介助が必要な人にヘアカット・カラー・パーマなどの施術を行う人のことをいい、一般的な美容師と同じ内容の仕事を行います。
ただし、利用者様の体調に十分に注意しなければいけませんので、美容師の知識以外にも介護の知識が必要になります。
基本的に施術は病院や介護施設、利用者の自宅で行います。
また、福祉美容師とは別に「介護美容師」という言葉もあります。
どちらも共通して求められる仕事の内容やスキルは同じため、一括りにされることが多いですが、福祉美容師と介護美容師には、実は以下のような内容の違いがあります。
介護美容師
その後、介護を学ぶ方の入門資格である「介護職員初任者研修」や医療的ケアに関しての知識や技能の習得を目的とした「介護職員実務者研修」などの資格を取得します。
そこからさらに上を目指す人は国家資格である「介護福祉士」を取得して、介護美容師として大いに活躍する人もいます。
ご紹介したように、介護美容師になるには美容師免許の取得以外にも様々な資格を取らなければいけないと思うかもしれませんが、必ずしも介護美容師になるには資格が必要という訳ではありません。
福祉美容師
介護美容師との違いは主に取得する資格の違いです。
福祉美容師になるためには、NPOや厚生労働省認定協会が発行している資格の取得を目指します。
例えば以下の3つが代表的な資格となります。
- 認定福祉美容介護士
- 福祉理美容師
- ハートフル美容師
いずれも国家資格ではありませんが、介助が必要な利用者様の為に必要な知識と技術を得るための資格となります。
一般的に福祉美容師と呼ばれる人は、上記の様なNPOや厚生労働省認定の資格を保有している人のことをいいます。
福祉美容師としての働き方
福祉美容師としての働き方は主に以下の2つに分かれます。
①福祉美容師の会社に所属する
主にサロンや企業に所属して福祉美容師として働きます。
施術は平均して1日に4~5件くらいと言われています。
給与体系は「月給制」「固定給プラス歩合給」「完全歩合制」と、一般的な美容師と同じような給与体系となります。
気になる福祉美容師の平均年収は、正社員で月給25万円~37万円、パート・アルバイトで時給1,380円~1,760円と、普通の美容師と比べるとかなり高額です。
美容師としてのスキル+介護の知識を兼ね備えた仕事なので比較的給料が高いのは納得ですね。
②独立して福祉美容師として働く
2つ目は独立開業して介護施設や医療機関と契約を結び、働く方法です。
福祉美容師としての独立は、店舗型のサロンよりも圧倒的にコストを抑えることができます。
その理由は、訪問がメインなので店舗を持つ必要がないからです。
もちろん施術に必要な美容師としての最低限の道具を揃える必要はありますが、店舗の建築費や設備を整える費用を大幅にカットすることができます。
さらに店舗の家賃・光熱費・水道代など、開業後に掛かる固定費もほぼありません。
ただし設備がしっかり整っている店舗とは違い、毎回施術に必要な道具を全て持ち歩かなければいけないので、最低限運転免許は持っておいた方がよいでしょう。
福祉美容師を目指す人へ!オススメの資格
国家資格である美容免許の取得はマストですが、福祉美容師としてキャリアアップするためにあると有利な資格をご紹介させていただきます。
ヘアメイク・セラピスト
ヘアメイク・セラピストとは、「一般社団法人日本訪問理美容推進協会」の認定した資格のことを言います。
受講資格は「理容師や美容師の国家資格をもっていること」であり、
受講内容は訪問現場や状況に合わせた備品や道具の選定の方法を学ぶことができます。
さらに寝たきりの介助者様へのシャンプーやカット方法などの技術面だけでなく、営業のスキルも身に付けることができます。
受講料は27,500円。受講内容はテキストで事前学習後、1日の学科・実技研修です。
福祉理美容師
福祉理美容師とは、NPO法人の「日本理美容福祉協会」が発行している認定資格のことを言います。
受講資格は「理容師や美容師の国家資格をもっていること」であり、主な内容は要介助者や高齢者など、身体の不自由な人のための介助の知識に加え、寝たきりの人への施術方法など、実践的な技術を習得することができます。
受講料は理美容師コースで27,000円。受講内容は自宅学習と2日間の学習プログラムを受講します。
認定福祉美容介護師(R)
認定福祉美容介護師とは、特定非営利活動法人「医療福祉情報実務能力協会」が発行している資格のことを言います。
受講資格は「理容師や美容師の国家資格をもっていること」であり、
受講内容は「通信教育課程」と「スクーリング課程」の2種類があります。
通信教育課程では、主に利用者様に対してのマナーや心理学、さらには薬剤の知識まで学ぶことができます。
スクーリング課程では以下の内容について学習します。
- 訪問理美容サービス提供についての基本から訪問や施術前の準備
- 実技緒論
- 要介護度に応じた注意点や技術
- ヘッドマッサージ基本知識と技術
- 応急手当と一次救命処置の知識と対処
利用者様に何かあった場合などの処置についても詳しく学ぶことができます。
受講料は10,800円。受講内容は1次課程と2次課程があります。
さらに高みを目指すためにあると有利な介護系資格
晴れて福祉美容師になれたとしても学ぶべき事は沢山あります。
福祉美容師としてさらにキャリアを積んでいくためには、ぜひ取得しておきたい資格についてご紹介させていただきます。
介護職員初任者研修
以前は「ホームヘルパー2級」と言われており、2013年4月に「介護職員初任者研修」という名前に変更されました。
しかし、基本的なカリキュラムの内容は変わらず、根幹の内容はほとんど同じといっていいでしょう。
介護の仕事は主に「身体介護」と「生活援助」に分かれています。
身体介護とは、食事・入浴・排泄など、利用者様に直接触れることができる介護のことをいいます。
一方、生活援助とは利用者様の身の回りの世話をすることをいい、主に病院までの送迎や日用品の買い出しなど、身の回りをサポートすることを言います。
介護職員初任者研修の資格を持っていれば「身体介護」ができるようになります。
認知症介助士
認知症介助士とは、認知症の人でも安心して社会に参加ができるよう、認知症の人に対してのコミュニケーションの取り方や環境作りについてのスキルを身に付けるための資格を言います。
現在、65歳以上の高齢者の約16%が認知症であると推計されており、
高齢化が進む日本ではますます認知症の方が増えてくると予測されています。
そのため、普段から高齢者の人と接する機会がとても多い福祉美容師の人は持っておくべき資格の1つと言えます。
具体的な内容は以下の通りでです。
- 高齢社会の進展と認知症の基礎知識
- 認知症の主な種類と症状
- 認知症の人の心理状態
- グループワーク
- 身近な事例から認知症の人の困りごとや応対を考える
- 認知症の人への接遇
- 認知症の人の家族からのアドバイス(動画)
- 関連法規と制度
- 検定試験
認知症介助士のカリキュラムでは、認知症の人に対しての基礎的な内容から、
具体的な事例をもとにしたケーススタディなど、実践に特化した内容となります。
まとめ
今回は福祉美容師について詳しくご紹介させていただきました。
福祉美容師という仕事は、一般的なサロンと比べてメリットが沢山あります。
基本的には病院や介護施設に訪問することが多いので、早朝や遅い時間に仕事をすることはなく、定時に帰宅できることがほとんどです。
さらに介護のスキルを身に着けていれば、将来的に家族や親戚に介護が必要となった場合でも非常に役に立ちます。
これからさらに高齢化が加速すると言われている日本では、まずまず需要が高まる仕事の一つでしょう。
もちろん介護が必要な方を対象としたお仕事なので楽ではありませんが、やりがいのある仕事であることに違いありません。
気になっている方は資格の取得に挑戦してみてはいかがでしょうか?
- 2022/2月オープン予定「&chaLme」代表
- 美容学校の技術講師
- 2年連続ホットペッパービューティー
人気スタイルランキング全国1位(140万人中)
東京の有名店HAIR DIMENSIONにて技術を学ぶ(有名雑誌のヘアメイクなど担当)。 美容師向けの技術講習会多数こなし、全国的なCM撮影のヘアメイクも担当。 現在は美容学校の技術講師を担当し、2022年2月には自身が代表を務めるヘアサロンをオープン予定。
美容師としての社会的地位を向上させる為に日々研究中。